2012年10月24日水曜日

Brugge ブリュージュ 10月

秋のベルギー街歩き。大本命の「ブリュージュ」。
実は以前に旅行でベルギーを巡ったとき、既にブリュージュを訪れていたんですよね(ベルギー1の観光都市ですものね)。なので、今回ルーヴェンに在住しはじめた頃は「ブリュージュは一回行ったこともあるし再訪することもないか・・・」と思っていたのです。しかしフランドル絵画を勉強しているうち、ブリュージュへ足を運ぶ必要を感じるようになって、ようやくの訪問となりました。

ブリュージュは13世紀には貿易で繁栄を極めた都市。しかしその栄華は15世紀には終わりを告げます。北海へ続く水路が塞がれ商船が出入りできなくなり、貿易の拠点はアントワープへ移ってしまったのです。しかしながら、経済的衰退によって近代化に取り残された結果、ブリュージュには中世のままの古い面影がそのままの形で残されることとなりました。19世紀末作家・ローデンバックが描いた「死都・ブリュージュ」は、この街の魅力を再発見させるきっかけとなり、現在では、欧州でもトップクラスの観光都市となっています。日本人観光客はもとより世界各地からこの「屋根のない博物館・ブリュージュ」へ年間200万人以上の観光客が訪れます。

 <日程>
8:37Leuven→(SNCB・IC)→10:15Brugge→ベギンホフ博物館→聖母教会・メムリンク博物館→昼食→グルーニング美術館→鐘楼・市庁舎・聖血教会→コーヒーブレイク(カフェ・ビタースイート)→(バス)→Brugge駅発16:35→帰途

<ブリュージュカード>ブリュージュの多くの博物館に入館できるカード。ブリュージュは見どころ満載なので、このカードはかなり重宝しました。おすすめ。観光案内所、主な美術館・博物館で購入可能。

<ベギンホフ博物館>
世界遺産に登録されているフランダース地方のbegijnhof修道院。私たちが住んでいるLeuvenもそのひとつですが、ほとんどのbegijnhofは現在も人が住んでいるのでその中を見ることはできません。そんな中、ここブリュージュのベギンホフには、ベギンの生活を再現した博物館があり、当時の生活の様子を垣間見ることができるのです。台所や居間・寝室などに当時の生活用品が展示されていて、意外と豊かな生活をしていたベギン達の様子が忍ばれます。2.00EUR

<聖母教会>
ここの宝物ゾーン(有料部分)には、ミケランジェロ作「聖母子像」が展示されています。これは、ミケランジェロが存命中に、イタリア国外に出た唯一の作品(ブルージュの豪商が購入して聖母教会に寄贈した)。現在でも、イタリア以外でミケランジェロの作品にであえるのは珍しく、人気の観光名所となっています。大理石の彫刻でありながら、マリアと幼子イエスの姿がなめらかで柔らかな質感によって表現されているところに、ミケランジェロの天才性が垣間見えます。ことにマリアの穏やかな微笑みは、バチカンのサンピエトロ大聖堂の「ピエタ」のマリアの表情と同じ神秘的な優美さ。ミケランジェロにとっての究極の女性美と言えるのかもしれません。ミケランジェロの絶頂期の至宝を見ることができただけでも、改めてブルージュに足を運んだ甲斐がありました。
さらに、内陣(無料ゾーン)には絶世の美人であったというブリュゴーニュのマリーと彼女の父シャルル突進公の霊廟もあります。こちらも必見。
宝物ゾーンのみ 4.00EUR。ブリュージュカードで無料。


<メムリンク博物館>
ベルギー7大秘宝・ハンス・メムリンクの最高傑作のひとつ「聖ウルスラの聖遺物箱」が展示してある博物館。12世紀に建てられた聖ヨハネ施療院の建物の一部を改装した博物館です。内部には施療院時代の病院の様子も再現されています。メムリンクの作品としては、前記の「聖ウルスラの聖遺物箱」の他に大作「聖カトリーヌの神秘の結婚」、「東方三博士の礼拝」など見逃せないメムリンクの代表作があります。精密な描写が特徴のメムリンクの作品はどんなに長い時間眺めていても飽きない魅力があります。ブリュージュカード利用可


<昼食・de Vlaamsche Pot>
de Vlaamsche Pot
Mario Cattoor Helmstraat 3-5, 8000 Brugge +32 50 34 00 86
www.devlaamschepot.be 
Waterzooi Kip 21.00EUR Brugse Worstenschot 19.50EUR 知人からのおすすめで訪れたベルギー料理の店。マルクト広場の観光客の喧騒をちょっと離れたから路地裏にあるレストラン。居心地のよい雰囲気。料理もサービスも納得の店でした。


<グルーニング美術館>
フランドル絵画の殿堂。
ファン・デル・ウェイデン、ボッシュ、メムリンクそしてファン・アイクらの傑作を数多く所蔵している美術館。この時代の作品は破損しやすい状態にあることが多く、1400年頃の作品で残っているものは数多くありません。特に低地地方と呼ばれるオランダ、ベルギーでは、宗教改革で偶像を破壊された歴史があり、現存しているものは大変貴重といえます。それゆえ門外不出の作品も多く、日本ではまず見ることができない絵画ばかりです。フランドル絵画ファンなら、訪れなければならない美術館です。
「ファン・デル・パーレの聖母子 The Madonna with Canon van der Paele」1436(画像:wikipediaから)。
数多くのヤン・ファン・アイクの作品を鑑賞してきましたが、現存する中でこれが最高傑作の一つであることは間違いないでしょう(ゲントの「神秘の子羊」は兄フーベルトとの共作ですので)。中央に聖母子。画面左には、寄進された聖堂の守護聖人「聖ドナティアヌス」が豪華な衣装をまとって描かれています。画面右側に、寄進者の守護聖人「聖ゲオルギウス」が立ち、兜を脱いで、眼鏡と聖書を持ってひざまずいている寄進者のヨーゼフ・ファン・デル・パーレを左手で紹介しています。描かれている人々の表情・肌のきめ、装束や持ち物、背景、床に敷かれた絨毯に至るまで、それぞれの質感がリアルにしっかりと描き分けられています。近寄ってみると確かに絵の具を重ねてあるだけなのに、少し遠くに離れて絵をみると、それぞれの質感が実物そのものなのです(特に絨毯!)。この比類なき精緻極める圧倒的描写力には、ただただ感嘆するしかありません。必見!!
参考テレビ番組:世界の名画(http://www.bs-asahi.co.jp/binomeikyu/back_010.html
グルーニング美術館へ続く橋。NHK「世界ふれあい街歩き」でも紹介されていました
ブリュージュらしくて素敵
<鐘楼・市庁舎・聖血礼拝堂>
366段の階段の鐘楼。上からの眺望は中世の街そのものの美しさ。でも、以前登ったので今回はパス。グローテマルクトから市庁舎(ブリュージュ最古の建物)前広場へ抜けて聖血礼拝堂へ。聖血礼拝堂の祭壇にはキリストの血を納められているとか。小さな宝物館も併設されています。

<Café BITTER SWEET>
BITTER SWEET St. Amandstraat 27, 8000 Brugge +32 50 34 87 69 薔薇の形のチョコレートを、ホットミルクに溶かして飲むホットチョコレートはとても美味。演出も素敵です。ブリュージュの地ビールを飲んだらクジに当選して、ビール一杯分無料になりました。

10月下旬のベルギーはもう冬模様。でも本当に盛りだくさんのブリュージュなので寒さの中頑張っていろいろ見聞してきました。前行った時から興味の幅が広がっているので、以前には気づかなかったブリュージュの魅力にたくさん出会うことができました。もちろん、暖かい時なら運河めぐりや馬車など正統派観光アトラクションも楽しめますし、それがなくてもお土産物屋を眺めながらの街歩きするだけでもとっても情緒ある街なので、ベルギー旅行からはやっぱり外せないスポットなのでした。