多くの欧州人にとって、第一次世界大戦は忘れることのできない戦争です。欧州中を巻き込んだ激しい戦争は、近代兵器の登場と相まって、多くの犠牲者をもたらしました。そのため欧州各地では、戦争終結の11月11日を戦没者慰霊の日として位置づけ、慰霊祭をおこないます。
とりわけフランス・イギリスとドイツに挟まれたベルギーでは、多くの街が戦いの主戦場となました。壊滅的な被害を受けた街も少なくありません。ベルギー西部の街「イーペル」は、そうした街の代表です。現在では街の主だった建物は再建され、美しい街並みを見ることができますが、そうした悲しい記憶をとどめるための「戦争博物館」や、戦死者の名前を刻んだ慰霊碑もあり、この街の歴史を感じることができます。現在でも多くの人がこの街に訪れ博物館などを見学し、欧州の歴史を学んでいます。特にこの地で英国軍人がたくさん戦死したため、今でも多く英国人がこの地に慰霊に訪れており、お土産物店もそうした人たちを対象とした品物を揃えています。ベルギーの他都市と少し様子が異なる雰囲気が、イーペルには漂っています。
11月11日、毎年この地で戦没者慰霊の国際セレモニーがおこなわれます。2012年度はベルギー王太子出席の下、ベルギー・フランダース関係者はもとより、英国・米国大使など各国代表が参加して、慰霊祭がおこなわれ、黙祷や献花が捧げられました。その様子はフランダースのTV局・eenでも生中継されました。