2012年3月31日土曜日

Ghent ゲント 3月

早春のゲントに行きました。

<日程> Leuven→(SNCB)→Gent-St.Peters駅→(トラム1番(7~8分))→コーレンマルクト下車→鐘楼→聖バーフ教会→昼食(Restaurant Het Lam Gods)→フランドル伯居城→カフェ休憩(Cafe3.14)→ショッピング→Gent-St.Peters駅→帰途

<鐘楼>
鐘楼の中にはエレベーターがあって鐘楼の上まで登れます。フランダース地方の他の街の鐘楼はたいていの場合徒歩で登らなければならないのですが・・・。上からの眺めは最高です。

<聖バーフ教会 St-Baafskatheedraal>
西洋絵画の最高傑作の一枚と言われるファン・アイク兄弟作「ゲント 祭壇画(神秘の子羊)」。ゲントを訪れるほとんどの観光客がこの祭壇画目当てだといっても過言ではないでしょう。精密でリアリティと色彩にあふれ、構成力・技術すべてに秀でた本当に素晴らしい作品です。
しかし、この祭壇画。美術品として鑑賞することにももちろん意義があると思いますが、同時に、その数奇な運命を知ることにも価値があると思います。聖バーフ教会の展示室には日本語オーディオガイドがあるので、それを聞きながらこの絵画とベルギーが翻弄されてきた欧州史を学ぶことができます。詳しい説明は日本語オーディオガイドにおまかせするとしても、とにかく、何百年にもわたって、バラバラに管理され、国外に持ち去られたり(ナポレオン時代はパリに、第二次世界大戦においてはナチスによってオーストリアに)、パネルの何枚かが盗難にあったり(現在でも左下の1枚は見つかっておらず複製が展示されています)・・・そんな受難にあいながら、最終的には、20世紀も終わりになって、ようやくゲントでほぼ完全なかたちに戻ることができたなんて・・・。やっぱりこの崇高な絵画を前にすると、平凡な人間は恐縮して、傷つけたり壊したりすることができないのかもしれませんね。それくらい美しく完成された作品だということでしょう。神のご加護かな。
平和なこの時代だからこそ、この絵画を故郷ゲントでゆっくりと拝観できるんですよね。現代に生きている幸せを感じます。

聖バーフ大聖堂 (St-Baafskatheedraal)
開館時間: 4月1日-10月31日 8時30分-18時 11月1日-3月31日 17時まで 
休館:教会の祝日および1月1日
大聖堂内は 無料。「ゲント祭壇画」展示室のみ詳しいオーディオガイド付きで4.00EUR。

祭壇画は撮影禁止、写真はwikipediaから
<昼食・Restaurant Het Lam Gods>
鐘楼のすぐ横にあるその名も「レストラン・神秘の子羊」。こちらでいただいたゲント名物鶏肉のワーテルゾーイ(waterzooi Kip)とフランダース地方の名物料理・牛肉のビール煮込み(Gentre Stoverij)は、ベルギー滞在中に食したベルギー料理の中でも1・2を争う美味しさでした。料理+飲み物で45.00EURくらい。
Restaurant Het Lam Gods
Sint-Baafsplein 1 B-9000 Gent België

+32.9.223.12.70
mail@hetlamgods.be
http://www.hetlamgods.be/index.php 



<フランドル伯居城>
フランドル伯のフィリップダルダスによって建築された城。中世の城の様子がよくわかります。中は博物館になっていて白の歴史や数々の武具、さらには「拷問室」などが展示されています。
***
<カフェ3.14>
疲れたので、フランドル白居城の前のカフェで一休み Koffie 3,14 Thee KORTEMUNT | GROENTEMARKT, Ghent, Belgium ウィンドーショッピングをして帰途につきました。

ゲントは日本人の観光客は少ないですが、見所は多く、街歩きをしていても、往時の栄華を思わせる美しく趣のある雰囲気をたのしめる素晴らしい街でした。
参考URL:http://www.visitflanders.jp/where_to_go/gent/index.html

ブリュッセル観光 3月

ベルギーに入国して、初めての観光はやっぱりブリュッセル。
グランプラス、小便小僧、シェレオン、ダンドワ。王道観光です。



<シェ・レオン(ムール貝専門店)>
Rue des Bouchers 18  TEL 02-5111415
予約 不要 営業時間 11:30~23:00 無休
ムール貝料理専門の有名店。どのガイドブックにもたいてい載っています。観光客向けの店。グランプラスから徒歩5分。予算は夜で一人30EURくらい(ムール貝料理+飲み物)。

<DANDOY ダンドワ>
住所:Rue Charles Buls 14, Bruxelles Tel: +32 (0)2 512 65 88
URL: http://www.biscuiteriedandoy.be
営業時間:月‐土 9:30-18:30  日曜日 10:30-18:30
ブリュッセルワッフルの有名店。日本人率高。チョコレートとアイスクリームたっぷりのワッフルが人気。

Begijnhofに暮らす(1) 概略


私たちはルーヴェンのGroot Begijnhofに暮らしています。このKULeuvenの宿舎は、中世のベギン会修道院の建物を改装して作られているもので、外観は中世のまま残さており、1998年に世界遺産に認定されています。敷地内に75棟のレンガ建ての建物が保存されていて、私たちもその中の一室に住んでいます。というわけで、宿舎の敷地内に毎日多くの観光客が見学にやってくるんですよ。

やはり大変古い建物ですので、上下の音はとても響きます。排水の音や部屋の中を歩く音、話し声なども聞こえます。モダンな住宅設備に慣れている日本人としては、正直はじめはちょっと違和感もありました。でも、世界遺産に住むなどという経験は望んでもできることではないので、ここでの生活を楽しむようにしています。

朝目覚めて何気なく窓の外を眺めたとき、教会のカリヨンの響きが聞こえたとき、夜遅く暗く静かなこの敷地内に帰ってきたとき・・・。中世そのものの空気を漂わせたBegijnhofの佇まいは、言葉に尽くせないほどの素晴らしさです。

2012年3月30日金曜日

Begijnhofに暮らす(2) Begijnhofの歴史


もともとBegijnhofは、Begijnベギンと呼ばれる修道女の集合住宅地(”hof”というのは邸宅というような意味)で、低地地方(オランダ・ベルギー)の各地には同様の集合住宅地が点在しています。1998年、これらのうち13ヶ所が、ユネスコ世界遺産に一括登録されました。ルーヴェンのGroot Begijnhofは市内中心部から徒歩10分ほどのところにあり、多くのBegijnhofの中でも最大級のものであり、また大学の管理下にあるので保存状態も良く、こうした意味でもルーヴェン市にとって貴重な財産となっています。

そもそも、「ベギン」は戒律の厳しい生活を送るいわゆる修道女とは違って、Begijnhofで共同生活しながらも、俗世間での経済活動や個々の私有財産も認められている女性たちのことを指しています。Begijnhofは、中世・十字軍遠征などで配偶者をなくした女性たちの生活を支えるために発展してきた居住地ですので、ベギンたちは信仰生活を強いられているわけではなく、緩やかにつながって暮らしていて、コミュニティという要素が強かったようです。

ルーヴェンのBegijnhofも長くベギンたちのための住宅地であったのですが、時代の流れとともにベギンの数も減り、20世紀半ばにはそのエリアもだんだん荒廃していきました(最後のベギンは1980年代末に亡くなりました)。そこで、その保存と有効活用のため、1960年代、KULeuvenがこの敷地全体を入手し、内部を改装し大学関係者用宿舎として貸し出すことが決まりました。その家賃を維持管理費に当てて、修復の必要な歴史的建造物を保存していくというのは、とてもうまいアイディアですよね。
Begijnhofの敷地は朽ち果てかけた塀に囲まれていて、入口のところには門、裏側には頑強そうな扉があり(現在扉は常時開かれていますが)ここが閉じられた居住地であったことがよくわかります。敷地内には75棟の建物があります。現在では、この建物の内部を分割したりして、18軒を学生宿舎、22軒を一戸建て宿舎、145軒をアパート宿舎としてKULeuvenが活用しています。現在居住しているのは、KULeuvenのスタッフ、Visiting Professor やInternational Researcher、そして学生、合計450人程度が暮らしています。

参考文献
上條 敏子『ベギン運動の展開とベギンホフの形成―単身女性の西欧中世』 刀水書房 (2001/03)
田原 幸夫『世界遺産フランダースのベギナージュ―甦る中世のミニチュア都市』彰国社 (2002/11):実際にルーヴェンのベギンホフ保存・活用プロジェクトに関わった建築家の著書。
参考URL:http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2004/Belgium/index.htm
http://en.wikipedia.org/wiki/Grand_B%C3%A9guinage,_Leuven

2012年3月29日木曜日

Begijnhofに暮らす(3) 実用情報


私たちの住んでいた建物は、1662年に建てられました(建物の壁にその年号が刻まれています)。外観は中世のままですが、内装は一応現代的になっています。1ベッドルーム(日本風に言うと1LDK)。家具、食器、家電品(テレビ・電子レンジ・照明器具など)付き。冷蔵庫はとても小さい(ホテルの部屋にあるようなもの)。洗濯機は部屋には設置されていないので敷地の一角にあるランドリールームへ行かなければなりません。もちろん、各建物の内部にはエレベーターはありません。なので、小さい子供がいるようなご家庭は、一階の居室を割り当てられることが多いようです。

海外からの研究者は、短期では2週間くらいから最長1年までこの部屋を借りることができます(KULeuvenのスタッフなら何年も住むことが可能)。居住申し込みはインターネットで行います。部屋割りは管理事務所の采配なので、どこの部屋に割り当てられるかはわかりません。ただ、もし特別な希望があるならば、事前に述べておいたほうがいいと思います。Begijnhofの中には、本当に様々な居室があり、家賃や設備もそれぞれ異なるので(最上階に住みたい、とか、ベッドが3つ必要とか)。空き部屋の都合で割り当てられるので、自分の希望が通るとはかぎりませんが・・・。とても人気がある宿舎なので、ここに住みたいと思ったらできるだけ早く申し込んだほうが良いそうです。

申し込みをすると、Begijnhofの管理事務所から関連書類を添付したメールが送られてきます。事前に家賃の1.5倍くらいの敷金と、最初の1ヶ月分の家賃を外国送金で振り込むと、契約が完了します。契約書は、日本出国前にpdfファイルで送られてきました。Begijnhof到着時に管理事務所(Groot Begijnhof 95、正門のすぐ横)でbegijnhofでの暮らし方についての簡単な説明を聞いたあと、契約書にサインします。鍵もその時渡されます(部屋の鍵2本と郵便ポストの鍵1本)。部屋の鍵で自分の建物の外扉とランドリールームの扉も開けることができます。家賃は、銀行振込か現金払いを選べます。
入居後、数日中に部屋の設備の確認を居住者とスタッフでおこいます。入居時に設備が壊れていたり、傷がいっていたりしたらこの際申告しておきます。(修理・交換してくれることもある)
ちなみに、居住開始後でも設備不良(例:電灯の切れなど)があったら管理事務所に届け出ましょう。ケーズ・バイ・ケースですが、管理事務所の責任で修理交換してくれることもあります。
世界遺産ですので、居住には特別なルールがいくつかあります。基本的には、自分で勝手に家電機器を導入したり、内装をいじったりしてはいけません。外壁を傷めないために自転車を家の前に駐輪することは禁止されていました(指定された駐輪場にとめる)。ただ残念ながらこのルールはあまり守られていませんでした。

なお、洗濯はランドリールームでします。ランドリールームの場所は管理事務所で教えてくれます。洗濯機・乾燥機を稼働させるためのコインは管理事務所で購入します。また、Begijnhofでは時々イベントも開催されており、その案内などもランドリールームには掲示されています。

2012年3月28日水曜日

Begijnhofに暮らす(4) 「ベギンホフ?」

ちなみに、Begijnhofのことを私も普段は字面から「ベギンホフ」と言っていますが、この読み方では地元のフランダース人には通じません。カタカナ表記すれば「ベヘインノフ」というのがまあ近いかなと思うのですが、これでもなかなか通じないです。というのは「G」の音は喉の奥から発声するような響きで、日本語の「ハヒフヘホ」の発音とは全然違う音なので・・・。「G」は、オランダ語子音の発音のなかで、最も難しいものだそうですからね~。何度言っても通じないときは、奥の手で、英語で「I live in the Great Beginage(ベギナージュ)」と言うと、わかってもらえたりします。難しいです。ハイ。

参考URL:http://www.learndutch.org/
http://www.h4.dion.ne.jp/~room4me/dutch/pron.htm


2012年3月27日火曜日

2012年3月26日月曜日

Begijnhofに暮らす(6) ベギンホフ周辺のいろいろな施設


Begijnhofの敷地周辺には、一般の方が利用できるベギンホフ・コングレスホテル、レストラン(FucltyClub)、会合のためのコングレス・センター(the Convent van Chievres)などがあります。

ベギンホフ・コングレスホテルは4星。begijnhofの雰囲気に調和した外観とスタイリッシュな内装のとても素敵なホテルです。友人が訪ねてきたときはいつもこのホテルを勧めていました。
http://www.booking.com/hotel/be/begijnhofcongreshotel.ja.html

レストランFucltyClubは、ルーヴェンでも人気のレストランで、begijnhofに隣接していた施療院を改修して営業しているレストランです。KULeuvenの関連施設なので、研究会や学会、そのあとのレセプションなども頻繁に行われています。
http://www.facultyclub.be/en/

またbegijnhofの正門前に、B&Bがオープンしました。建物はbegijnhofと同時代のものなので、begijnhofの雰囲気を味わえる宿泊施設になっているようです。

Begijnhofの中心にある教会、Sint-Jan-de-Doperkerkは一般信者が訪れる普通の宗教施設です。毎週日曜日や祝祭日には礼拝がおこなわれています。もちろん、結婚式やお葬式もときどきおこなわれます。